結果報告書の見方

結果報告書は3頁でセットになっています。
1頁目を見ていただくと「今後、いつ、何をしなければならないのか」という全体の判定と各検査の判定がわかるようになっています(総合判定)。
2頁、3頁目には、各検査の項目別の結果が一覧になっています(検査別結果一覧)。

1.総合判定(1頁)

1.総合判定(1頁)

2頁、3頁目の判定欄に異常が複数ある場合、その判定を緊急性の高い順にグループに分けて、記載してあります。
検査結果で異常値が認められた場合でも、他の検査結果との関連や、問診で得られた既往歴、現病歴、自覚症状などを考慮したりして、その結果が病的であるか否かを判断しています。
従って、2・3頁の結果一覧表の異常値マーク(*)が必ずしも異常判定に結びつく訳ではありません。

2.検査別結果一覧(2.3頁)

今回の健康診断で行った各検査の項目別の結果を一覧にしてあります。

A.検査の範囲で異常を認めず
実施した検査項目の範囲で病的な異常は認められない。
B.僅かな異常を認める
正常とはいえないが、経過観察や治療などは必要ない。
C.要経過観察
診断がある程度確定し、治療の一環として定期的な検査などが必要である。
D.要健康相談
「C.要経過観察」の中で特に、食事療法。運動療法などによる、生活習慣の改善が必要である。放置すると病状が進行する恐れがある。
E.要治療
診断は確定し医師の指導のもとに治療を始める必要がある。放置すると病状が進行する恐れがある。
F.要再検査
健常者であっても健診時の状態によっては異常値を示す場合があり、診断を確定するために(病気であるか否かも含めて)同じ検査を再度行う必要がある。
G.要精密検査
病的と考えられる異常を認めた場合、経過観察が可能か治療が必要か否か等を診断するために、さらに一歩進んだ詳しい検査を行う必要がある。

各検査項目の目的

身体計測・BMI

身体計測身長・体重から肥満度を算出する。肥満は、生活習慣病の原因となるので、食事や運動に留意し標準体重を目標に減量することが重要である。
BMI
ボディ・マス・インデックス=体重(kg)÷身長(m)÷身長(m)で求められる肥満度を判定する数値。
体脂肪量とよく相関し、統計的にこの数値が22前後の人が最も病気になりにくいことがわかっている。

尿検査

尿pH正常尿は弱酸性でph6.0位であるが食事内容により尿の酸・アルカリ度が変動する。
過度の肉食、過飲、カルシウム摂取不足で尿の酸度が高くなる。酸性時には尿路結石ができやすくなる。
尿蛋白
健常人では陰性。腎障害、腎炎などで陽性となるが、過激な運動で陽性になることもある。
尿糖
健常人では陰性。糖尿病などにより血糖値が高値になると尿糖が陽性となる。陽性の場合は糖尿病を疑い、さらに詳しい検査が必要となる。
尿ビリルビン健常人では陰性。ビリルビンは赤血球の分解産物の一種で、赤血球の分解が亢進した場合や肝疾患、肝臓から胆汁への排泄が阻害された場合に上昇する。
尿ウロビリノーゲン肝臓から胆汁に含まれて腸内に排出されたビリルビンが腸内細菌によりウロビリノーゲンに変化し、再び腸管から吸収され尿に排出される。正常は「±」。胆道系の障害で胆汁が腸管に排出されない時などは陰性となる。肝障害で血中ビリルビンが上昇したり、便秘などで腸内にビリルビンが停滞すると強陽性となる。
尿潜血腎臓、尿管、膀胱、尿道、前立腺などの疾患で陽性となる。そのほか遊走腎、激しい運動の後に陽性になることもある。
尿沈査尿中の固形成分(赤血球、白血球、上皮細胞、細菌、析出結晶、円柱など)を顕微鏡で調べる。腎臓、尿路系疾患の診断に用いる。
尿比重腎臓の希釈・濃縮力を表す。腎機能障害などにより比重は小さくなり、脱水などで尿が濃くなると比重は大きくなる。

血液学検査

白血球数感染症などの炎症性疾患や、白血病などで上昇する。また過度の喫煙でも上昇する。
喫煙者で白血球が多い方は節煙あるいは禁煙後、再検してください。
白血球像白血球細胞には役割の違う数種類の白血球があり、各々の種類の割合を%で表す。
白血病などの血液疾患の診断や炎症、アレルギー疾患の程度の評価などに用いる。
赤血球数貧血の検査に用いる。鉄分の摂取不足、造血機能障害や悪性腫瘍および消化管からの出血などによっても減少する。
ヘモグロビン赤血球のなかに含まれ、酸素運搬の役割をもつ鉄を含む蛋白質。ヘモグロビン濃度で貧血の判定をする。鉄分の摂取不足、造血機能障害や悪性腫瘍および消化管からの出血などによっても減少する。
ヘマトクリット血液中で赤血球の体積が占める割合。貧血の診断に用いる。
血小板数出血時に血管損傷部位に集まり、固まって止血する働きをする。低下時には出血しやすくなり、増加時には血管内の血液が固まりやすくなって脳血栓などの原因になる。
血清鉄(Fe)血液中の鉄の濃度。赤血球ヘモグロビンの重要な原料になる。偏食による鉄分摂取不足や、慢性胃炎、胃切除による鉄の吸収障害、慢性的な消化管出血などで低下する。低下すると貧血の原因となる。
総鉄結合能力
(TIBC)
血液中の鉄は蛋白と結合しており、鉄と結合できる血液中の蛋白の総量を表す。種々の疾患で増減する。鉄欠乏性貧血の場合は、TIBCに比べ血清鉄の割合が小さくなる。
全血比重貧血で減少し、脱水などで血液が濃くなったときに上昇する。

血清学検査

CRP健常人では陰性。感染症や膠原病、悪性疾患で上昇し、治癒すると消失する。
疾患の重症度、病態変化の評価に利用する。
ASO溶連菌に対する抗体価で、リウマチ熱、猩紅熱、急性糸球体腎炎などで上昇する。溶連菌は常在菌であり病的な感染がない健常人でも、ある程度抗体価を有している。
RFリウマチテスト。慢性関節リウマチ、膠原病、肝疾患などで陽性となるほか、健常人でも数%が陽性を示すため、RFのみ陽性でCRP、血沈値などの炎症反応が正常であり、関節症状が伴わなければ臨床的に問題はないことが多い。
TP抗体梅毒感染から約2ヶ月で陽性になり、治癒しても陰性化しない。

生化学検査

AST
ALT
肝臓に多く含まれる酵素で、ウイルス肝炎、アルコール性肝障害でAST、ALTともに上昇する。運動不足、急な体重増加で脂肪肝の状態となりALTのみ上昇することがある。
γ‐GTP肝障害か胆道閉塞性疾患であるときに、AST、ALT、ALP、などとともに上昇する。
アルコールの過飲によりγ‐GTPのみ上昇する場合は実質的な肝障害はないと考えられるが、放置すると本当の意味での肝障害に進行する可能性があり、アルコールの減量ないしは一定期間の禁酒をする必要がある。
ALP胆道閉塞性疾患、肝障害があるときにAST、ALT、などとともに上昇する。その他、骨疾患や悪性腫瘍がある場合、妊娠末期にも上昇する。
総ビリルビン
古くなった赤血球が脾臓で分解されて生じた色素の一種。赤血球の分解が亢進した場合や肝機能障害時に上昇する。高値の時は皮膚が黄色くなる。(黄疸)
総LDH心筋、骨格筋、肝臓、赤血球、腎臓など多くの組織に分布している。悪性疾患や肝障害で上昇し、激しい運動後や筋肉に障害があるときにも上昇する。
Ch‐E(コリンエステラーゼ)血液、肝臓、脾臓内に存在する酵素。肝炎、肝硬変、悪性疾患の場合に低下する。
総蛋白血液中に含まれる種々の蛋白質の総和で、個人差も大きく、一日のうちでも変動する。肝障害や悪性腫瘍がある場合に低下する。
A/G比体の構成要素の原料蛋白であるアルブミンと細菌や異物を排除する抗体蛋白であるグロブリンの比を表す。肝障害、炎症反応や悪性腫瘍が存在するときに低下する。
HBs抗原B型肝炎S抗原。陽性で肝機能が正常な場合、生来のB型肝炎ウィルスの保持者で無症状の状態と考えられる。将来B型肝炎を発症する可能性があるので、年に1回は肝機能検査をして経過観察が必要。
HCV抗体HCV抗体。陽性の場合C型肝炎ウィルスに感染している可能性があるので、専門医にご相談ください。
血清アミラーゼ唾液、膵液に含まれる消化酵素。唾液腺、膵臓の炎症や障害時に上昇する。
尿素窒素腎機能障害時に上昇するほか、高蛋白食や激しい運動や、脱水などにより上昇する場合がある。
クレアチニン不要になった蛋白の最終産物で、腎臓から排出される。腎機能障害時に上昇する。
電解質(Na、K、Cl)血中に含まれる電解質で腎臓により濃度が一定に維持されている。脱水、下痢、腎機能障害時や利尿剤の服用などで異常値になることがある。
総コレステロール血液中に含まれる脂質で、HDL(善玉)コレステロール、LDL(悪玉)コレステロールなどの総和。総コレステロールが多いと動脈硬化が多いと動脈硬化が進行し、心筋梗塞などの原因になる。
中性脂肪過食過飲、運動不足で上昇する。中性脂肪が多い状態が続くと皮下脂肪、内臓脂肪になって体重が増加する。また動脈硬化が進行し、血栓が出来やすくなるので脳梗塞、心筋梗塞などの原因になる。
HDLコレステロール血管に貯まったコレステロールを肝臓に運ぶ糖質蛋白で動脈硬化を予防する善玉コレステロール。総コレステロールが高くてもHDLコレステロールが高いのなら問題はない。
LDLコレステロール肝臓で合成されたコレステロールを末梢へ輸送をしている悪玉のコレステロール。高脂血症、動脈硬化性疾患の診断の指標になる。
血糖エネルギー源となるブドウ糖の血中濃度で、主にインスリンというホルモンにより血糖値が一定にコントロールされる。食事による影響が大きく空腹時は110mg/dl以下が標準となる。これ以上の場合は、糖尿病の可能性があり糖負荷試験により診断を行う必要がある。
HbA1cブドウ糖と結合している赤血球ヘモグロビンの割合。過去1?2ヶ月間の平均的な血糖値を反映するので、糖尿病患者の血糖値のコントロール状況の評価などにも用いる。
尿酸飲酒、肥満、肉食、腎機能障害時に上昇する。過飲後に上昇し、通風の原因になる。高い状態が続くと、尿路結石や腎機能障害の原因となる。
腫瘍マーカー種々の悪性腫瘍の存在で出現する蛋白質や抗原を調べる。悪性腫瘍が存在しなくても腫瘍マーカーが陽性になることはあるが、悪性腫瘍の場合は経時的に値が上昇するのに対し、悪性腫瘍でない場合は経時的に変化しない。腫瘍マーカーが陽性と判定された場合は定期的に経過観察をするか、一歩進んだ検査をする必要がある。
CEA主に、大腸・胃などの消化器癌、肺癌で上昇する。また、喫煙の影響でも上昇するので、喫煙者で陽性の方は、節煙して再検査をして値が低下することを確認する必要がある。
AFP原発性肝臓癌で上昇する。慢性肝炎、肝硬変のある場合は、定期的にAFPの経過観察をすると共に、腹部超音波検査で肝腫瘍の存在をチェックする必要がある。
CA19-9膵臓癌、胆道系の癌、消化器癌で上昇する。
PSA、PSP前立腺癌により上昇する。
CA125卵巣癌で上昇する。健常者でも微量に存在するので、体調により変動が大きい場合がある。

その他

CPK骨格筋、心筋に含まれる酵素。骨格筋の障害や心筋梗塞時に上昇する。また激しい運動をした後にも上昇することがある。

眼科検査

視力裸眼視力、矯正視力を計測。矯正のバランスが悪いと、眼精疲労や肩凝り、頭痛、吐き気などの症状が見られることがある。
眼圧空気圧による眼球内圧を測定し、緑内障の早期発見をする。緑内障は高眼圧のために視神経の機能障害をきたす疾患で、放置すると最悪の場合失明することもある。
眼底網膜の異常を検索し、眼の疾患を早期に発見する、また、眼底血管の性状から全身の動脈硬化度を推察したりする。Sheie Hは高血圧性の変化を、Sheie Sは動脈硬化性の変化を表す。

聴力検査

聴力会話式(肉声を使った簡易検査)とオージオメーター(機械を使用)のいずれかで検査をする。聴力低下の原因としては、突発性難聴、騒音性難聴、老人性難聴、聴神経腫瘍などがある。

循環器検査

血圧心臓が収縮し血液を送り出す時の血圧を最大血圧、拡張した時の血圧を最低血圧という。
高血圧を放置しておくと動脈硬化が促進され、心臓病や脳出血、腎障害などの原因となる。
肥満、運動不足、過度の飲酒、ストレスなどが高血圧の原因になる。
心電図皮膚の上から心臓の電気的変化を記録し、不整脈、狭心症、心筋梗塞、心肥大などの心疾患の有無を調べる。異常を疑う場合は24時間ホルター心電図や負荷心電図により精密検査をする場合がある。

内科診察

内科診察医師が受診者の既往歴、家族歴、生活習慣および自覚症状などを問診し、総合判定時の参考にする。また、聴診、触診などにより、心臓や肺の他、甲状腺、頸部リンパ節などの異常を調べる。

胸部X線、喀痰検査

胸部X線
X線により肺、心臓などの異常の有無を調べる。古い結核、胸膜炎の跡などもチェックされるので、他の疾患と区別するため再検査およびCT検査などによる精密検査をする場合もある。
喀痰細胞診
喀痰内に混じる気管支粘膜の脱落細胞を顕微鏡で観察し、細胞の悪性度を調べる。

上部消化管検査

上部消化管X線
(バリウム)
造影剤のバリウムを服用し、付着したバリウムの貯留状態や通過状態などにより食道・胃・十二指腸の粘膜に潰瘍、ポリープ、腫瘍がないかを調べる。潰瘍、ポリープがみつかったり、確定診断がつかないときは、胃内視鏡をする場合もある。
上部消化管内視鏡
(胃カメラ)

胃カメラを挿入し、食道・胃・十二指腸の粘膜を直接観察し潰瘍、ポリープ、腫瘍などの状態を調べる。細胞診断のため、ポリープや腫瘍の細胞を採取する場合もある。

マンモグラフィ

マンモグラフィ
(乳腺X線検査)

乳房は可動性を有する体表臓器であり、乳房撮影では乳房を引き出して圧迫し、軟X線を用いて撮影を行います。乳房に出来る病気には色々あり、良性の場合いもあれば悪性の場合もあります。ほとんどの病気はマンモグラフィで見つけることができます。また、しこりが触れる場合に、写真を見てそれがどういうものであるかを判断したり、体の外側からの診察(視触診)では触れない病気を見つけることもあります。

超音波検査

超音波検査
皮膚の上から超音波により腹部の臓器(肝臓、胆嚢、膵臓、腎臓、脾臓)を調べる。
尿路結石、胆嚢ポリープ、脂肪肝などを検出する。肝嚢胞、腎嚢胞、胆嚢ポリープ、肝血管種、胆嚢腺筋腫症などは良性だが、経過観察が必要。また、疾患の原因を確かめるために再検査やCT検査などの精密検査を行う必要がある。

下部消化管検査、便潜血検査

大腸内視鏡肛門から大腸にカメラを挿入し、大腸の粘膜を観察して大腸ポリープや腫瘍の状態を調べる。
便潜血(免疫法)大腸、直腸、肛門などの消化器からの出血があると陽性になる。大腸ポリープ、大腸がんの他、痔からの出血や裂肛でも反応するが、陽性者の3%に大腸癌が存在するといわれている。陽性反応もしくは自覚症状のある場合は精密検査をお勧めします。

婦人科検査

子宮癌検診
婦人科内診時に、子宮頸部や体部から採取した細胞の悪性度を調べる。
子宮頸部ではクラスI、IIは正常。クラスIII境界病変(クラスIIIa:軽度~中度の細胞異形を認める。クラスIIIb:高度の細胞異形を認める。)クラスIV:悪性を疑う。クラスV:悪性(癌)。
子宮体部では陰性:異常なし。疑陽性:疑わしい。陽性:悪性(癌)
乳房触診医師による乳房の形状観察および触診により、乳房内の腫瘍の有無を調べる。異常が認められる場合は、再検にて経過観察をしたり、組織を採取して病理検査をする。
婦人科超音波超音波により子宮、卵巣などの性状を調べる。子宮筋腫などの腫瘍や卵巣脳腫などを検出する。腹部からのアプローチ(経腹法)と膣内からのアプローチ(経膣法)がある。